大切な人を失った後の生活は、悲しみに包まれる中にも、現実的な手続きを一つひとつ進めなければなりません。役所や金融機関への届出に始まり、葬儀、税金、相続、名義変更など、その範囲は多岐にわたります。
亡くなったあとに必要となる主な手続きを時系列で整理しました。いざというときに慌てず冷静に対応できるよう、今から手続きの流れを知っておきましょう。
最初に行うべき手続き

死亡診断書の取得
死亡診断書は、医師が死亡を確認し、原因を記載した公的な書類です。死亡届を提出する際に必要となります。通常は主治医が発行しますが、病院外での死亡や急死の場合には時間がかかることもあるため、早めに確認しましょう。
死亡届の提出
死亡届は、死亡後7日以内に市区町村役場へ提出します。提出先は、死亡した場所または本籍地・届出人の住所地の役所です。提出後、火葬や埋葬に必要な「埋火葬許可証」が交付されます。
葬儀・火葬・埋葬に関する手続き

埋火葬許可証の取得
死亡届の提出後、通常1〜2日以内に埋火葬許可証が発行されます。役所の混雑状況によって時間が前後する場合があるため、余裕を持った確認が必要です。この許可証がなければ火葬や納骨ができません。
葬儀の手配
葬儀は、故人を見送る重要な儀式です。葬儀社との打ち合わせ、会場の手配、宗教・宗派によるしきたりの確認など、短期間で多くの準備を進める必要があります。信頼できる葬儀社のサポートを受けながら対応しましょう。
火葬手続き
火葬は通常、死亡後7日以内に行います。葬儀社が予約代行することもありますが、希望日時の空きを早めに確認してください。
埋葬手続きと時期
火葬後の遺骨は納骨堂や墓地に埋葬します。墓地購入や費用確認、埋葬許可証の管理に注意が必要です。地域や宗教で納骨の目安時期が異なるため、事前に確認しましょう。
公的な制度に関する手続き

年金の手続き
故人が年金を受け取っていた場合、支給停止の手続きが必要です。年金事務所に死亡の届出を行いましょう。また、条件を満たせば遺族年金が支給されることもあります。申請には年金手帳、死亡届の写し、遺族の戸籍謄本などが必要です。
健康保険・国民健康保険の手続き
死亡後は、健康保険証の返却と資格喪失の手続きが必要です。加入していた保険の種類により、提出先が異なるため、事前に確認が必要です。遺族が新たに国民健康保険に加入する場合もあるため、必要書類の確認をしておきましょう。また、未払いの医療費がある場合は精算も忘れずに行います。
税金に関する手続き

住民税と所得税の手続き
死亡した年の所得については「準確定申告」が必要です。これは相続人が税務署に申告し、必要に応じて税金を納付または還付を受ける手続きです。住民税についても自治体に連絡し、納税義務の有無を確認しましょう。
金融・相続関係の手続き

銀行口座・金融機関の凍結解除・解約
故人名義の口座は死亡後に凍結されます。死亡証明書や戸籍謄本を持参し、口座の解約・名義変更、クレジットカードやローン残債の精算を行いましょう。
相続手続きと遺産分割協議
遺言書の有無を確認後、相続人同士で遺産分割協議を行います。相続税申告は死亡後10ヶ月以内が期限です。不動産や預貯金、株式などの資産内容を明確にし、必要書類をそろえましょう。
忘れがちなその他の手続き

郵便物の転送届
郵便局で「転居届」を提出し、大切な郵便が引っ越し先に届くようにします。
公共料金の名義変更・解約
電気・水道・ガス・電話などの契約は、期日までに名義変更または解約手続きをしましょう。
携帯電話・インターネット
回線の解約・住所変更
継続利用する場合は住所変更、利用しない場合は解約手続きを早めに行います。
デジタル遺品の整理
SNSやメールアカウントのパスワード・アカウント管理方法を、信頼できる人に共有しておくと安心です。
ペットの飼育継続・引き取り対応
ペットの新たな飼い主や預かり先を決め、契約内容や飼育環境を確認したうえで手続きを進めましょう。
落ち着いて一つずつ対応するために

手続きの範囲と期限を把握
手続きの種類は多岐にわたり、期限付きのものも多くあります。事前にリスト化し、優先順位をつけておくことが大切です。
書類や用語に戸惑わない工夫
専門用語や初めて見る書類が多く、混乱しがちです。チェックリストやガイドブックを活用し、一つずつ確認して進めましょう。
専門家を頼るメリット
不安があるときは、行政書士や司法書士のサポートを活用すると安心です。書類作成や手続き代行で、ミスや手間を軽減できます。
事前の準備で心に余裕を
手続きの流れや必要書類をあらかじめ把握しておくことで、いざというときに慌てず対応できます。セミナーや専門家の無料相談を活用し、心の余裕を持っておきましょう。




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