国民年金だけじゃ足りない?老後を支える国民年金基金のしくみ

公的制度の知識

自営業やフリーランスの方にとって、老後の生活費は他人事ではありません。国民年金だけでは、現在の受給額は月額6万円台と心もとないため、不安を感じる方も多くなっています。そこで注目されているのが、もうひとつの公的制度「国民年金基金」です。仕組みやメリット、iDeCoとの違いを理解し、自分に合った備え方を考えてみましょう。

国民年金基金とは

自営業・フリーランスに
向けたもうひとつの公的年金

国民年金基金は、第1号被保険者である自営業やフリーランスの方々を対象とした任意加入の公的年金制度です。基礎年金(国民年金)では不十分な老後資金を、“上乗せ年金”として補う役割を担います。

国の監督がある制度だから信頼できる

民間の保険商品や投資信託と違い、国民年金基金は厚生労働省の監督のもと、地域ごとの基金が運営しています。公的な制度として信頼性が高く、長期的な資産形成に向いているのが特長です。

掛金は収入に合わせて柔軟に設定可能

毎月の掛金は自由に設定できるため、収入が不安定な自営業者でも無理のない範囲で積み立てられます。ライフスタイルや経済状況に合わせた年金プランを立てやすいのが特徴です。

将来の受け取り額がわかりやすい

基金では予定利率に基づいて年金額が設計されており、将来の受給額が予測しやすくなっています。リスクを抑えて、安定的に老後資金を準備したい方に向いています。

国民年金との違い

国民年金は全員加入、基金は選択制

国民年金(基礎年金)は20歳から60歳未満のすべての人に加入義務があり、老後に最低限の年金を受け取るための制度です。一方、国民年金基金は任意加入で、加入するかどうかは自由です。

月6万円台では暮らせない老後の生活

国民年金の受給額は、令和6年度時点で満額でも月6万8000円ほどです。家賃や医療費を含む生活費をまかなうには少なく、他の備えが必要になるのが実情です。

イデコ(iDeCo)との違い

加入できる人が異なる

iDeCo(個人型確定拠出年金)は自営業者・会社員・公務員など、幅広い人が対象となっています。国民年金基金は自営業やフリーランスなどの第1号被保険者に限定されており、対象者が異なります。

投資リスクを取るか、
安定性を取るか

iDeCoは自分で運用商品を選ぶ仕組みで、成果次第では大きなリターンを狙えますが、運用によっては元本割れのリスクもあります。一方、国民年金基金は予定利率に基づいて給付が計算されるため、運用リスクを避けたい人に適しています。

掛金上限を共有している点に注意

国民年金基金とiDeCoの掛金は合算して月額68,000円が上限です。両方に加入する場合は、バランスを考えて設計する必要があります。

年金の受け取り方

基本は「終身年金」、
長生きに備えられる

終身年金は、生涯にわたって年金を受け取れるタイプです。人生100年時代といわれる今、長く受け取れる年金は大きな安心につながります。

「有期年金」も選べる

10年や15年といった決まった期間だけ受け取る有期年金も選べます。早い時期に生活資金を集中して使いたい人や、退職直後の支出に備えたい人に向いています。

ライフプランに応じて
組み合わせも可能

終身年金と有期年金は組み合わせることも可能です。たとえば「最初の10年は多めに、その後は一定額を生涯受け取る」といった設計もできます。

掛金と受給額の仕組み

掛金次第で受取額は変わる

国民年金基金では、選んだ年金タイプや月々の掛金額によって将来の受給額が決まります。多く積み立てれば、より多くの年金が受け取れるしくみです。

掛金の上限はiDeCoと
合わせて月6万8000円

自営業者の場合、iDeCoと合わせて月額6万8000円が上限と定められています。この範囲内で、ライフプランに応じたバランスのよい設計を行うのがポイントです。

節税メリットが大きい

掛金は全額が所得控除になる

国民年金基金に支払った掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象になり、全額が所得控除として認められます。課税所得が減るため、所得税や住民税の負担を減らすことができます。

年末調整や確定申告で控除を反映

控除を受けるには、年末調整または確定申告が必要です。節税と老後資金の準備を同時にかなえられる点は、大きな魅力です。

加入できる人の条件

国民年金第1号被保険者が対象

国民年金基金に加入できるのは、20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者です。自営業者、個人事業主、農業・漁業従事者などが対象となります。

過去に第1号だった人が
再加入できるケースも

退職などで一時的に第1号から外れていた人も、条件によっては再加入が可能な場合があります。詳しくは地域の国民年金基金に確認すると安心です。

どんな人におすすめ?

• 自営業・フリーランスで老後の生活に不安がある人
• 退職金がなく、年金収入を自分で準備したい人
• 毎月一定の金額をコツコツ積み立てていきたい人
• 投資リスクを避け、安定的な年金を希望する人
• 節税効果も重視したい人

これらの条件に当てはまる方にとって、国民年金基金は非常に心強い選択肢となります。

自分で備える時代に必要な選択肢

公的年金だけに頼るのが難しくなってきた今、自ら準備する力が求められています。国民年金基金は、信頼できる公的制度として、自分のライフスタイルに合った老後の備えを可能にしてくれるはずです。

自営業やフリーランスという働き方を選ぶ人にとって、国民年金基金は将来への不安を和らげるための第一歩になります。自分に合った備えとして、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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