ルピナスの波に心をゆだねて ― ゆれる花と、ゆれる気持ち ―

暮らしと心

初夏のある朝、通りがかった公園で、一面に広がるルピナスの花を見かけました。風に揺れるその姿は、まるで静かな波のよう――。
立ち止まって眺めていると、日々のあわただしさがふっと遠のくような感覚がありました。
スピードが求められる今の時代では、心が置き去りにされることも増えています。だからこそ、自然の中にある穏やかな「波」に耳を傾けてみたくなるのです。

花にふれる時間が、心にゆとりをもたらす

忙しい日々に、花がくれるひと呼吸

ルピナスは、マメ科の多年草で、紫・青・白・ピンクなど、色とりどりの花が穂のように咲き上がるのが特徴です。その姿は少し遠くから見ると、波のように見えることから「ルピナスの波」とも呼ばれています。

この花の群れを目にすると、自然と深呼吸をしたくなります。美しさに心を向けることは、忙しさの中にほんのわずかな“余白”を与えてくれます。
日々の生活では、便利なものや効率ばかりを優先してしまいがちですが、あえて足を止める時間をもつことで、心は静かに整っていきます。

「風に揺れる強さ」を身につける

花から学ぶ、しなやかな生き方

ルピナスの花は、細長く柔らかな茎に咲くため、風が吹くと大きく揺れます。それでも、倒れることはありません。しなやかに風を受け流しながらも、根を張った場所にしっかりと立ち続けています。

人の心もまた、そうありたいものです。強くあろうとするだけでは疲れてしまいます。流されすぎると、心が不安定になってしまうことも――。大切なのは、無理せず、その時々の風に合わせて柔らかく身をゆだねることではないでしょうか。

年齢を重ねると、なおさらこの「揺れる力」が必要になってきます。無理なく、自分のリズムで暮らしていくこと。その参考になるのが、自然の中にあるリズムなのです。

ルピナスカラーを暮らしに取り入れる

色と光が、気分を整えてくれる

ルピナスの紫や青には、気持ちを落ち着かせる効果があるといわれています。室内にほんの少し、ルピナスカラーを取り入れるだけで、空間はぐっとやさしく穏やかに変わります。クッションやスカーフ、ランチョンマットなどにルピナスの色合いを加えてみるのもおすすめです。また、窓辺に一輪だけルピナスを飾るのも素敵な方法。風に揺れるその姿は、見るたびに深い呼吸を思い出させてくれます。

控えめながらも、そっと心に寄り添ってくれる──それがルピナスの魅力です。

心に波を描いて生きていく

まっすぐではなく、やわらかに進む

人生はまっすぐ進むものではありません。
ときに立ち止まり、迷い、引き返すこともあります。だからこそ生まれる美しさがあるのです。ルピナスの波のように、揺れながらも前へと進んでいく。それが「生きる」ということなのだと、ふと思います。

急がなくてもいい。完璧でなくてもいい。大切なのは、自分の心のリズムに正直でいること。花のように、自然に寄り添いながら日々を過ごす。そんな暮らしを、これからも大切にしていきたいものです。

花がそっと教えてくれること

ルピナスの花言葉は、「想像力」「いつも幸せ」「あなたは私の安らぎ」。
やわらかに揺れるその姿には、目には見えない思いや願いが込められているようにも思えます。
日々のなかで心が揺れ動いたときは、ふとこの花のことを思い出してみてください。
そっと寄り添い、励ましてくれるやさしい言葉が、そこにあるかもしれません。

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