東京・大手町に眠る平将門の首塚、都市伝説と“結界”の正体とは？

東京・大手町のビル群の中に、今もひっそりとたたずむ「平将門の首塚」。仕事運や出世運にまつわるご利益スポットとして知られる一方、「絶対に動かしてはいけない場所」として、数々の怪異や伝説も語り継がれています。
なぜ、最先端のビジネス街の中にあるこの小さな塚が、令和の時代になっても守られ続けているのでしょうか。そこには、目に見えないものを敬い、大切にする日本人の心が息づいています。

首塚とは何か――東京の中心にある不思議な空間

高層ビルに囲まれた
「異界のような場所」

大手町の真ん中にある首塚は、ビジネスの最前線とは思えないほどの静けさをたたえています。整備された敷地の中央に塚があり、都心の喧騒とは切り離された空気が流れています。

近年の再開発でも、この場所だけは「動かしてはいけない」として計画から外されるほど、特別な扱いが続いています。

平将門とは何者だったのか

反逆者であり、
東国のヒーローでもあった

平将門は平安時代中期、関東で勢力を拡大し、「新皇」を名乗って朝廷に反旗を翻した人物です。朝廷からは反逆者とされた一方、理不尽な支配に抗った東国の英雄として語られることもあります。

討伐された将門の首は、京都から関東に送られ、現在の場所に埋葬されたと伝えられています。

怨霊から守り神へ――首塚にこめられた想い

敬意を込めて築かれた塚

将門の首が葬られたこの地には、ただの墓ではない意味が込められていました。怨念を鎮めるため、地域の人々が丁重に塚を築き、代々供養を続けてきたのです。

今も「祟りを恐れて塚に手を加えない」という意識は根強く、その信仰心が伝説として語り継がれています。

首塚にまつわる怪異と実話

昭和初期の工事関係者に起きた異変

昭和の初め、首塚を撤去して官庁ビルを建てようとしたところ、関係者が相次いで事故や病に見舞われたという記録があります。計画は中止となり、最終的に塚は元の場所へ戻されました。

戦後、進駐軍さえ手を出せなかった

終戦後、GHQ（連合国軍）が首塚周辺の開発を試みた際にも、不可解な事故が続いたとされます。こうした出来事が積み重なり、「首塚は結界であり、動かしてはならない場所」としての認識が広まりました。

平将門の首塚は“仕事運アップ”のパワースポット？

ビジネス街にあるご利益
スポットとして注目

近年、将門の首塚は「出世運」や「仕事運」にご利益があるパワースポットとして人気が高まっています。特に大手町で働くビジネスパーソンにとって、将門の力強い生き方にあやかろうと訪れる人が増えています。

折れない心に共感する現代人

将門の行動力や逆境に屈しない精神は、ストレスの多い社会で生きる私たちにとって、支えや勇気を与えてくれる存在です。「困難に負けない強さを手に入れたい」と願う人にとって、首塚はその思いを託す場所になっています。

結界という考え方と、私たちの心の境界

見えないけれど大切な“結界”

霊的に「結界」とされる首塚ですが、心理的には「これ以上頑張らない」という心の線引きにも通じます。目に見えないストレスから自分を守る、静かな空間としての役割を果たしているともいえるでしょう。

忙しさの中にある“止まる場所”

都心のど真ん中にある首塚は、ただのパワースポットではありません。周囲がどんなに動き続けていても、そこだけは凛とした静けさを保ち続けています。その存在は、「立ち止まってもいい」「一度、息を整えてもいい」と語りかけてくれているようです。私たちの心にも、そんな結界を持つことが、実はとても大切なのかもしれません。