親の資産がどのくらいあるのか、はっきりとご存じでしょうか。
聞きづらい・見えにくい・話題にしにくい——そんな空気のまま過ごしてしまうと、いざというときに家族が困ることがあります。
資産を「見える化」することは、家族と自分自身を守る大切な準備です。
親の資産が「見えない」ままでは困る理由

親の資産は、なぜ話題にしづらいのか
「うちの親、どれくらい資産を持っているのだろう?」
ふとよぎるこの疑問に、正面から答えられる方は少ないかもしれません。
親の世代の多くは、お金の話をタブー視して育ってきました。そのため、家族間で資産について話す機会もほとんどなく、通帳や保険、証券の情報も共有されていないままという家庭も多く見られます。
つまり、親の資産はまるで「見えない箱」のようになっており、家族にとっては中身のわからないブラックボックスとなっているのです。
想定外のトラブルは、すぐそこに

「たぶん大丈夫」では済まされない
「うちの親は堅実だから、特に問題はないはず」
「年金も出ているし、何とかなるだろう」
そう考えて安心している方も多いでしょう。
しかし、現実には次のような事例もあります。
- • 住宅ローンがまだ残っていた
• 誰にも言わず借金を抱えていた
• 通帳や証券が複数に分散され、把握できない状態だった
こうした問題は、最近では決して珍しいことではありません。
親が元気なうちは支障が出ないかもしれませんが、突然の入院や認知症の発症など、「ある日突然」生活が変わることは誰にでも起こり得ます。
親が元気なうちに話し合う意味

判断力があるうちが話のチャンス
もし、親が急な病気や事故で判断能力を失った場合、次のような問題が起こる可能性があります。
- • 預貯金や不動産の管理ができなくなる
• 医療費や介護費用の支払いに支障をきたす
• 相続をめぐって親族間のトラブルが生じる
「何とかなる」と思っていても、実際には「何ともならなかった」というケースが少なくありません。
だからこそ、まだ元気で、判断力もあるうちにこそ、資産についての話し合いを始めることが大切なのです。
資産の話は“きっかけ”と“伝え方”が重要

自然な会話の中で切り出してみる
「財産はどれくらいあるの?」と唐突に聞くと、相手に警戒されるのは当然です。
たとえばこんなふうに切り出してみてはいかがでしょうか。
• 「家族で何かあったときのために、話しておけたら安心かなと思って」
• 「万一のとき、どこの銀行に口座があるかだけでも教えてもらえる?」
「サポートしたい」「将来の不安を減らしたい」という気持ちを添えながら話すと、相手も耳を傾けやすくなります。
「終活」や「生前契約」も選択肢のひとつ

前向きな準備として話しやすくなる
最近では、「終活」や「生前契約」といった言葉も広く知られるようになってきました。
「将来、子どもたちに迷惑をかけたくない」という親の思いから、自ら情報を整理したり、手続きを始める方も増えています。
たとえば、次のような契約があります。
• 任意後見契約:将来判断能力が不十分になったときに備え、代理人をあらかじめ定めておく
• 見守り契約:定期的な安否確認や相談を受けられる仕組み
• 財産管理委任契約:判断力があるうちから財産の管理を他者に任せる
これらを活用することで、親の希望を尊重しながら、家族の不安を減らすことができます。
ブラックボックスを開くことで得られる安心

資産の「見える化」で将来の混乱を防ぐ
資産を整理し、家族で共有しておくことで、次のような安心につながります。
- • 親自身が、将来の生活に安心感を持てる
• 家族が、もしもの際に迷わず動ける
• 相続手続きがスムーズに進む
さらに、親子でこれからの暮らしを見つめ直す良いきっかけにもなります。
「そのうち」は、意外とすぐにやって来る

笑顔で話せるうちに、第一歩を
「まだ早い」「そのうち話そう」と思っている間にも、時は確実に過ぎていきます。
資産のブラックボックスは、放っておいても自然に明らかになるものではありません。
だからこそ、まだ元気なうちに、少しずつ扉を開いていくことが大切です。
未来の自分と家族のために、今、その一歩を踏み出してみませんか。




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