初夏と聞いて、どんな光景が思い浮かびますか。柔らかな日差しに照らされる新緑、爽やかな風が頬をなでる、暑さが本格化する前の心地よいひととき――春と夏が交差する、このわずかな季節に、自然はまた新たな表情を見せてくれます。今回は、「初夏」が訪れるタイミングや自然の移ろい、この時期ならではの楽しみ方について、少し深く見つめてみましょう。
初夏はいつから?

暦のうえでは「立夏」からスタート
「初夏」という言葉は、暦のうえでの季節の分かれ目「立夏」(5月5日頃)から始まるとされています。およそ1か月、つまり6月上旬から中旬にかけてが、暦のうえでの「初夏」です。この間、自然は一気に色づき、草木は勢いよく葉を広げていきます。
気象的には5月中旬から6月中旬が目安
最近の気象感覚でいえば、気温が上がり始め、空気が夏めいてくる5月中旬から6月中旬頃が「初夏」と感じられる時期です。特に梅雨入り前の晴れた日には、日差しがまっすぐ差し込んで、木々の影がくっきりと映ります。まだ湿度も低く、朝夕は肌寒さが残る日もあるため、一年の中でも過ごしやすいとされています。
初夏に感じる自然のうつろい

風と光の変化
春のやわらかな風は、初夏になると少しだけ力強くなります。乾いた空気をまといながら吹く風は、どこか清々しく、気持ちを外へと向かわせてくれます。また、日差しの角度も変わり、光はぐっと強さを増します。朝の早い時間から、まるで「もうすぐ夏が来るよ」と知らせてくれているようです。
季節の草花が咲き誇る
この季節は、アジサイや花菖蒲、さつきなどが次々と咲き、街の景色に彩りを添えてくれます。庭先や公園で見かける花々の変化から、季節の移ろいを感じる人も多いのではないでしょうか。とくにアジサイは、しっとりとした雨に濡れることでいっそう色鮮やかに映り、光を受けて透けるような美しさを見せてくれます。
暮らしの中で楽しむ初夏

衣替えと夏支度のはじまり
初夏は、衣替えや家の中の風通しを意識し始める時期でもあります。冬の名残を片づけ、リネンや綿など軽やかな素材の服や寝具を出すと、気持ちも新たになります。また、扇風機やすだれ、虫よけなど、夏本番を迎える準備を少しずつ進める人も増えてきます。
食と香りで感じる季節
食卓にも、初夏ならではの楽しみがあります。新じゃが、新たまねぎ、さやえんどう、そして梅やらっきょうの漬け込みなど、旬の恵みが並ぶ時期です。また、香り高い青じそやみょうが、すだちなど、さっぱりとした薬味も登場し、食欲を引き立ててくれます。
初夏の訪れに心をととのえる

季節が移り変わる節目には、気持ちが少しだけ立ち止まる瞬間があります。初夏は、春の余韻を感じながらも、次にくる暑い季節へと向かって歩き出す時期。外の風を感じながら少し散歩をしてみたり、朝の光を浴びて深呼吸してみたり。自然と向き合うことで、心もすこし軽くなっていきます。




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