6月16日は「和菓子の日」やさしい甘さに込められた日本のこころ

毎年6月16日は「和菓子の日」。見た目も味も美しい和菓子には、日本の風土や文化が深く根付いています。この記念日に込められた想いや、和菓子が持つ魅力について、あらためて味わってみませんか。

平安時代から続く厄除けの習わし

「和菓子の日」の起源は、平安時代の嘉祥元年（848年）にさかのぼります。当時、疫病の流行により、仁明天皇が人々の無病息災と長寿を願い、6月16日に16種の菓子や餅を神前に供えたとされます。この習わしは「嘉祥の儀」と呼ばれ、長く続いてきました。

昭和に復活した文化の記憶

長らく忘れられていたこの行事を、日本菓子協会が昭和54年に「和菓子の日」として再び制定しました。人と人のつながりを深め、日本の伝統文化を次代へと継承していくための記念日として、いまも大切にされています。

季節を映す繊細な芸術

和菓子は、桜や紅葉、雪など、自然の情景を映した細やかな表現が魅力です。見た目からも季節感を味わえるその佇まいは、日本人の美意識と感受性が結晶した“小さな芸術”とも言えるでしょう。

素材と手仕事が生む優しさ

小豆、米粉、寒天、和三盆。どれも昔から親しまれてきた素材です。保存料や添加物に頼らず、職人の手で丁寧に作られる和菓子には、素材本来の味わいが生きています。日持ちはしなくても、やさしくて奥深い甘さが心に残ります。

節目を彩る日常の一部

和菓子はおやつという枠を超え、花びら餅（正月）、ひちぎり（ひな祭り）、柏餅（端午の節句）など、暮らしの節目や季節行事に欠かせない存在です。贈り物としても重宝され、日本人の心に寄り添い続けてきました。

若い世代にも広がる魅力

最近は、フォトジェニックなデザインや、ビーガン対応・グルテンフリーなどの新たな提案もあり、和菓子は若い世代にも注目されています。和カフェや抹茶スイーツのブームも相まって、和菓子文化は再び新たな広がりを見せています。

せっかくの「和菓子の日」。近くの和菓子店をのぞいてみたり、自分へのご褒美にひとつ選んでみたり。この一日をきっかけに、手のひらに収まる美しさと、心に沁みるやさしい甘さを、五感で楽しんでみてはいかがでしょうか。